トイレの浮き球が上がらないときの調整方法と水漏れについて
カテゴリー:トイレの水漏れについて
目次
トイレタンクの中には「浮き球」というものがあるのを知っていますか? 浮き球は異常をきたしてしまうと水を流した際に微量の水が出続けてしまったり、トイレタンク内の水が一向に溜まってこないなどの現象をおこす可能性があります。 ここでは「浮き球の調整方法」や「浮き球の交換時期」などについて詳しくします。
トイレの浮き球とは
「そもそも浮き球って何?」と感じる方も多いのではないでしょうか? 浮き球とは、トイレタンク内の水量を調整している玉状の装置です。浮き球は水量が増え水かさが上がると同時に浮いていき、これにより排水後の給水を止めています。
また、排水によって浮き球が下がると給水が行われ、適切な水位に戻ることで給水が停止されます。
このように浮き球の動きに合わせて給排水が行われるのは、浮き球がピストンバルブと連動しているためです。ピストンバルブとはトイレの給排水を行うボールタップを構成する部品の一つで、浮き球の動きに合わせて給水口の開閉を行っています。
以下では、浮き球の原理を分かりやすくまとめました。
タンク内の水面が下がれば浮き球も下がる
レバーを引いて便器内に水が流れ出すと同時に浮き球が下がり、給水も同時に行われます。
タンク内の水面が上がれば浮き球も上がる
給水され浮き球が適正な位置に上がることで、ピストンバルブが給水を停止します。
トイレの浮き球の調整方法
浮き球が正常な動きをしていないと便器内の水が止まらなくなってしまったり、水の流れが悪くなる場合があります。 浮き球の調整を自分で行う際は正しい手順を把握した上で作業しないと給水が止まらず溢れ出してしまう可能性もあるので注意しましょう。
以下では、浮き球の調整方法(トイレタンクの調整方法)を順に解説していきます。
事前の準備
トイレの止水栓(元栓)を閉める
浮き球を調整する前に必ずやっておくべきことに、止水栓を閉める作業があります。止水栓を閉めずに浮き球の調整を行うと、調整中にタンクから水が溢れてしまう場合があるので注意しましょう。
トイレタンクの蓋を外しておく
トイレタンクの蓋は主に陶器でできているため、調整時にタンクに立てかけるなどの行為は大変危険です。必ず作業前に取外し、安全な場所においておきましょう。
浮き球の調整方法の手順
1.トイレタンク内の水かさを標準の水位に合わせる
「標準の水位ってどこ?」と疑問に感じる方もいるかもしれませんが、標準の水位は「WL-」という印が目印となります。 一般的にはタンク内のオーバーフロー管に刻まれているので、トイレタンクの蓋を取り外したらはじめに確認しておきましょう。
中には稀に「WL-」の印がつけられていないトイレタンクもありますが、その場合はオーバーフロー管の先端から約2~3cm下を目安にしましょう。
2.ボールタップの付け根に水位調整リングがあるか確認する
水位調整リングがある場合
水位が「WL-」よりも低い場合は右方向に回します。反対に「WL-」よりも水位が高い場合は左方向に回し、それぞれ90度回すことで約8mmの水位を調整することができます。
水位調整リングが無い場合
水位調整リングが無い場合は浮き球の付け根部分に支持棒があるので、水位が「WL-」よりも低い場合は支持棒を上に曲げ、水位が「WL-」よりも高い場合には支持棒を下に曲げます。曲げる際は本体に負荷がかからないようにゆっくりと曲げることが大切です。
3.トイレタンクの中の水を抜く
次にトイレタンク内の点検を行っていきます。点検時は一度タンクの水を全て抜き、トイレタンクを空の状態にすることで作業がしやすくなります。
水の抜き方は普段使っている流水レバーを引くだけですが、このとき<事前の準備>にもある「止水栓を閉める作業」が行われていないと再びタンク内に水が給水されてしまうので注意してください。
4.鎖を点検する
トイレタンクの中を覗くとレバーとフロートバルブの間に鎖が取り付けられています。この鎖はレバーを回してフロートバルブの開閉をするための鎖です。
また、鎖には2種類あり、樹脂製のタイプの場合とステンレス製のタイプの場合があります。それぞれ調整方法が異なるので以下に分かりやすくまとめました。
樹脂製の鎖を使用している場合
樹脂製の鎖が使用されている場合は大レバー・小レバーともに「鎖を2個余らせた状態」で取り付けるのが良く、あまりにも突っ張ってしまっている状態だとフロートバルブ自体が閉まらなくなってしまいます。
また、隙間ができてしまうことにより水が便器内に流れ続けてしまう現象が起こるので、1個ずつ様子を見ながら調整しましょう。
ステンレス製の鎖を使用している場合
構造は樹脂製のものと同様でレバーとフロートバルブが接続されています。ステンレス製の場合は大レバー・小レバーともに「鎖を3個余らせた状態」で取り付けてください。 樹脂製の鎖と同様に、フロートバルブに隙間ができないよう注意して取り付けることが重要です。
樹脂製の鎖、ステンレス製の鎖のどちらも少し遊びを残した状態で繋げることがポイントです。
5.フロートバルブを確認する
フロートバルブはトイレのレバーを引くことで鎖が持ち上げられフロートバルブ本体が開く仕組みとなっています。 これにより水が便器内に流れるのがトイレタンクの基本的な構造ですが、ここに異物が挟まってしまうとごく小さなものでも水が流れ出てしまうので、見逃さずに取り除きましょう。
6.浮き球を確認する
浮き球はトイレタンク内の水位状況を把握しているもので、浮き球が正常に機能していないと水が止まらなくなる可能性が高いです。 以下では、よくある浮き球トラブルをまとめました。
浮き球がタンク内のどこかに引っかかっていて正常に動かない
浮き球が引っかかっている場合は支持棒などを調整し、タンク内の他の部品などに引っかからないようにしましょう。
浮き球の中に水が入っていて正常に動かない
一見異常は見られないと思っていても、浮き球の中に水が溜まっている場合があります。基本的には浮き球の中は空で、水が入ることはありません。 万が一水が入ってしまっていた場合は亀裂が入っている可能性が高いので、浮き球の交換が必要です。
浮き球のみの場合はホームセンターなどで1,000円前後で購入できます。また、浮き球を直しても正常に動かない場合は各パーツの分解などが必要となってしまうので、個人での修理に不安がある場合は専門の業者に依頼して修理してもらうようにしましょう。
7.トイレタンクの蓋を閉める
手洗い管にホースが接続されていることを確認しながら蓋をゆっくり閉めてください。
8.止水栓を開ける
最初に止めていた止水栓を開けて、浮き球の調整(トイレタンクの調整)は完了です。
トイレの浮き球が原因で水漏れ?
浮き球に亀裂が入っていたり、別の部品にひっかかっているなどの状態が原因となって水が止まらなくなるケースがあります。
給水が止まらなくなるとトイレタンクから水漏れが発生するので注意しましょう。浮き球にどのようなトラブルが起きているかによって修理方法は異なるので、原因が特定できない場合は専門業者へ修理を依頼する必要があります。
トイレの浮き球の交換時期
浮き球は亀裂などが入ってしまわない限り使用できますが、長年の使用により劣化が起こる場合があります。 以下では、主な交換時期を分かりやすくまとめました。
- トイレタンク内で他の部品とぶつかるなどして形が変形してしまったとき
- 亀裂が入って浮き球内に水が入ってしまったとき
日ごろから確認できる場所ではありませんが、トイレタンクからの水漏れなど異変を感じた際は浮き球に異常がないか確認してみましょう。
劣化を防ぐためにも他のパーツの設置が適切か確認したり、定期的に汚れや水垢を掃除するのが大切です。
まとめ
トイレタンク内は複数のパーツが組み合わさって構築されています。自分で修理するのが困難だと感じた際は早めに専門業者へ修理依頼を出しましょう。 最後に、浮き球の役割や浮き球の調整方法について大切なポイントをおさらいしましょう。
- 浮き球にはトイレタンク内の水かさを適正に保つ役割がある
- 浮き球が「上がらない」「下がらない」ときはトイレタンク内の調整が必要
- 止水栓を閉めたことを確認してから調整作業をする
- 浮き球に亀裂が入っていないかまたはひっかかりを確認する
- 浮き球が正常に機能していないと水漏れが起こる
- 浮き球の交換時期は浮き球に変形や亀裂があったとき
- 作業に不安がある場合は専門業者へ依頼するのが安心
